細胞検査士会北海道支部

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更新日 2008-12-03 | 作成日 2008-08-05

日本臨床細胞学会

細胞検査士会北海道支部

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第13回コントロールサーベー 解答・解説 2006年度

症例1:7歳、女性。
臨床所見:後頭部に疼痛を伴う腫瘤を触知。頭蓋骨XPで骨欠損像を認め、CT・MRIで横静脈洞上皮下硬膜外にenhanceされる腫瘤を認めた。
材 料 : 術中後頭部硬膜外腫瘍捺印
判 定 : ランゲルハンス細胞組織球症 Langerhans cell histiocytosis(eosinophilic granuloma) 
【細胞所見】 多数の好酸球を認め、好中球やリンパ球、多核の組織球も認める背景に比較的広く泡沫状の胞体、核は単核で切れ込みや皺がみられ、コーヒー豆様やラグビーボール様を呈する組織球様の細胞を多数認めます。 
【組織診断】 好酸性の胞体を有するhistiocyte様の腫瘍細胞が充実性に増殖し、多数の好酸球浸潤を伴っている像が見られます。一部に肉腫様変化も散見されます。Histiocyte様の腫瘍細胞は核および細胞質にS-100陽性で、一部の細胞はCD-68陽性でした。 
【解説】 LichtensteinはLetterer-Siwe病(LS)、Hand-Schüler-Christian病(HSC)、骨の好酸球性肉芽腫(EG)の3疾患を同一の疾患概念に入るものとしてHistiocytosis Xという名称を提唱したがこれは異論のあるところである。またその後、これらの疾患で増殖する組織球系細胞は表皮内に存在するLangerhans細胞(LC)と同一であるとの見解から、最近はLangerhans cell histiocytosis(LCH)と呼ばれることが多い。EGはこのなかでもっとも多く、予後は良好である。若年者に好発し通常骨の孤立性破壊性病変であるがときに多発する。頭蓋骨、脊椎、肋骨、上腕骨、大腿骨に好発する。 形態学的には大型の単核細胞で、細胞質は好酸性で豊富である。核は特有の切れ込み、皺などがみられ、コーヒー豆様、ラグビーボール
様と表現される。核小体は通常明瞭ではない。核分裂像は症例によりまちまちであるが、多かれ少なかれ認められることが多い。しかし、悪性を思わせる異型性は通常みられない。背景には好酸球、単核~多核の組織球やまた好中球、リンパ球が認められる。免疫学的にはMHC classⅡ、CD1a、S-100βタンパクなどが陽性、Fc-IgGレセプターやC3レセプターを有している。その他、CD11、CD25、CD54、CD80、CD86などが陽性である。

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症例2:74歳、女性
臨床所見 : 左前胸部痛出現。左胸壁腫瘍を指摘され入院。左第6肋軟骨上に腫瘍があり、肋軟骨、胸膜、肋間筋を含め切除。他の肋骨、肺への浸潤は(-)であった。 
材 料 : 左胸壁腫瘍(左第6肋骨部腫瘍)捺印 
判 定 : 悪性線維性組織球腫 Malignant fibrous histiocytoma (MFH) 
【細胞所見】 異型の強い組織球様の異型細胞が多数認められ、さらに線維芽細胞様の異型細胞や、その中間型の異型細胞が認められます。肋骨原発は比較的希ですが、多彩な細胞像から、MFHが疑われる細胞所見です。軟骨肉腫や骨肉腫との鑑別が必要ですが、本例では軟骨由来の細胞は認められず、多核巨細胞も骨細胞よりは組織球を示唆する細胞です。
【組織診断】 Bizarreな大型異型核と好酸性の広い胞体を有する巨細胞が増殖しています。また、異形成のある紡錘形細胞が一部striform patternをとって増殖しています。

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症例3:62歳、男性 
臨床所見 : リウマチで経過観察中、胸部写真にて異常陰影あり。CTにて左胸壁に肺を圧迫し骨を溶解する56mm大の腫瘤影認めた。 
材 料 : 胸壁腫瘍に対する経皮的穿刺吸引細胞診
判 定 : 巨細胞腫 Giant cell tumor 
【細胞所見】 短紡錘形、類円形の単核細胞と多核巨細胞が混在してみられ、細胞質内には緑褐色のヘモジデリンを含むものもみられた。核は比較的小型で核形不整、クロマチン増量は認められなかった。部分的には単核細胞と多核細胞の間に移行像がみられた。 細胞像において鑑別が重要なのは軟骨芽細胞腫(chondroblastoma)である。鑑別点は軟骨芽細胞腫の単核細胞と多核巨細胞との間には移行像が認められない点である。 【肉眼所見】 胸壁腫瘍切除術で摘出された組織は第8肋骨から42mm×38mm大の出血を混じる腫瘤性病変として存在し胸腔内に突出していた。 
【組織診断】 多核巨細胞や短紡錘形の単核細胞が認められ、反応性の類骨形成も伴っている。 組織診断:Giant cell tumor of bone 
【解説】 GCTは骨端閉鎖の完了した20~30歳代の長管骨骨端部に好発するとされているが、肋骨のGCTも少なからず報告がある。基本的には予後良好であるが、組織像からの予後予測は困難で、肺転移や骨転移をおこす場合があり注意を要する。

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症例4:83歳、男性 
臨床所見 : 糖尿病で加療中。陰嚢水腫にて泌尿器科入院。精査の結果、陰嚢腫瘍が認められ切除術を施行。その後、左肺下葉後方に1.5㎝大の転移性結節が認められた。 
材 料 : 転移性肺腫瘍捺印
判 定 : 平滑筋肉腫 Leiomyosarcoma 
【細胞所見】 線維状、紡錘形の異型細胞が多数認められます。核は長楕円形、紡錘形でクロマチンは増量し細顆粒状ですが粗に分布しています。また赤染、腫大した核小体も認められます。細胞質は辺縁が不明瞭ですが、ライトグリーンに好染、淡く柔らかい感じを受けます。平滑筋肉腫が疑われる細胞像です。 
【組織診断】 平滑筋肉腫(傍睾丸部原発)の肺転移です。好酸性の細胞質を有する紡錘形細胞が束状に配列し、増殖しています。紡錘形の大型核を有する異型細胞も多数認められます。
 

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症例5:15歳、男性
臨床所見 : 1ヶ月前より陰嚢が腫脹。左陰嚢が30㎝大に腫脹し、腫瘍は陰嚢皮膚を破り突出、出血していた。泌尿器科緊急入院となり、高位除睾術施行。 
材 料 : 左精巣腫瘍捺印
判 定 : 胎児型横紋筋肉腫 Rhabdomyosarcoma embryonal type 
【細胞所見】 N/C比の高い小型異型細胞と共に、ライトグリーン好性の豊富な細胞質を有する核の偏在した類円形異型細胞(横紋筋芽細胞)や、リボン状、帯状、ラケット状の細胞質を有する異型細胞が多数認められます。核が細胞質から一部突出しているように見えるのが特徴的で、核小体も明瞭で、多核の細胞も認められます。また一部の細胞質には横紋が認められ、胎児型横紋筋肉腫を疑わせる細胞所見です。 
【組織診断】 細胞質の乏しい未分化細胞がシート状に、あるいは浮腫状の間質・基質を背景に増殖しています。その中に好酸性の紡錘形ないし卵円形の異型細胞が混在し、一部の細胞質には横紋が確認できます。 

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症例6:71歳、男性
 臨床所見 : 右上顎洞腫瘍再発、骨破壊像あり。
 材 料 : 上顎洞腫瘍捺印
判 定 : 線維肉腫 Fibrosarcoma 
【細胞所見】 出現細胞は紡錐形で、細胞質はライトグリーンに染まるレース状で大小不同性や多形性は少ない。核形は楕円形または紡錐形で、紡錐形のものでは両端が細長いものが見られる。クロマチンは顆粒状で均一、核小体は小さな不整形のものが1個~数個認められる。これらの細胞が不規則に交錯した集塊ないしは孤立性に出現している。鑑別診断として悪性線維性組織球腫、横紋筋肉腫は多形性に富む細胞像から除外したい。平滑筋肉腫は紡錐形細胞が主体であるが、好酸性の細胞質や核小体も腫大が目立つものが多いこと、核は短桿(いわゆる葉巻状)から楕円形であることから除外したい。扁平上皮癌は核クロマチンの粗さ、細胞質の重厚感から除外できる。本例は既往歴が参考となった。
 【組織診断】 成人に生ずる線維肉腫は30歳から50歳代に多く四肢、躯幹の深在性軟部組織に好発し、筋肉などに浸潤する深在性の腫瘍としてみられる。線維肉腫は線維芽細胞からなる悪性腫瘍で核異型を有するが、目立った多形性や他の細胞への分化を示さない。本例は上顎に発生した成人型線維肉腫の再発例で、細胞密度が高く紡錐形の異型な核を持つ腫瘍細胞の錯綜としてみられ、核異型があり、分裂像が多く、中分化型に相当する。免疫組織化学的検索では腫瘍細胞はvimentinのみ陽性であった。

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症例7:59歳、女性 
臨床所見 : 右顎下腺腫脹。CT上右顎下部にlow densityを伴うmassを認めた。 
材 料 : 顎下腺 スタンプ
【細胞所見】 比較的清明な背景の中、紡錘形~長紡錘形腫瘍細胞からなる中~大の集塊が見られ、束状あるいは柵状の配列を呈している。細胞境界は不明瞭。紡錘形の核が、不規則に配列し、大小不同も若干認められる。核クロマチンは細かく核小体を有する細胞も認められる。やや大型化した細胞を含む。 
【組織診断】 紡錘形の腫瘍細胞の増殖を認める。明瞭なpalisadingは認めないが、腫瘍はS-100陽性でありAntoni-A type優位のschwannomaを考える。 
【概念】 末梢神経の髄鞘を形成するシュワン細胞に由来する良性腫瘍である。 組織学的にはシュワン細胞の増殖が主体で、束状、渦巻き状に増殖し、書くの柵状配列palisadingが特徴的である。(Antoni A type) 一方、間質が粘液腫状で、腫瘍細胞がまばらなAntoni B typeがある。(多くの場合、両者が混在する。) 12
 

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症例8:55歳、男性 
臨床所見 : 右胸部痛が現れるもそのまま放置していたが、3ヶ月後近医受診した。高血圧、横隔膜(胸壁)腫瘤が認められたため、当院外科を紹介された。US上、第7肋骨後方に5.1×4.5㎝大の石灰化を伴う多胞性腫瘤を認めた。術中所見は横隔膜で軽度の癒着が見られたが、右肺とは交通、癒着とも見られなかったため、第7肋骨の一部および横隔膜を5㎝程度合併切除となった。 
材 料 : 胸壁腫瘍捺印
判 定 : 軟骨肉腫 Chondrosarcoma 
【細胞所見】 ヘマトキシリンに淡染する不整形粘液様物質をみる。細胞は類円形で散在性あるいは重積を伴って出現している。核は類円形~不整形で、小型核小体を1個認める。これらの細胞の周囲に見られる粘液様物質は、出現している細胞の細胞質と別々のものではなく、細胞質から連続しているように見える。これは細胞が産生した物質が、その背景を彩っていると考えられる。これらの物質を軟骨基質と考えると軟骨肉腫と推定することが可能である。 
【組織診断】 分葉状の軟骨様の腫瘍で、明瞭な lacunae を有する細胞からなっている部が大部分である。細胞密度には多少の差はあるが、全般的にはあまり高くはない。また二核の細胞も少数認められる。核は濃縮気味で、多少の不整を伴い、やや size の大きなものも含まれる。明瞭な軟骨基質を有している部が主体であるが、特に軟部組織、骨への浸潤部などでは、myxoid な間質中に星芒状の細胞が散在する所見も認められ、lacunae で囲まれない細胞もしばしば含まれる。このほか、変性を来たして ghost 状を呈する領域、lacunae で囲まれるが細胞密度の高い部などが部分的に見られる。以上からは、grade1>2の chondrosarcoma を考える。 

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供覧症例1:42歳、女性 
臨床所見 : 全身倦怠感を訴え近医受診したが、改善傾向見られず、当院産婦人科紹介受診。この頃より腹部腫瘤を自覚し始めた。US、CTにて、後腹膜に12×10㎝大の腫瘤を認め、十二指腸および横行結腸を巻き込むような浸潤像が疑われた。外科転科し、膵頭十二指腸および結腸右半切除が行われた。 
材 料 : 腫瘍捺印
判 定 : 胃腸間質細胞腫瘍 Gastrointestinal stromal tumor(GIST) 
【細胞所見】 細長い紡錘形~不整形、一部に切れ込みを有する核を持つ細胞が、散在性あるいは重積を伴い、錯綜配列を示しながら出現している。核クロマチンは顆粒状を呈し、小型核小体を1~2個認める。核縁は明瞭である。細胞質は線維状で、柔らかな細網状を呈し辺縁は不明瞭である。細胞学的には、平滑筋由来の腫瘍、神経系腫瘍などとの鑑別が必要となるが、細胞所見のみでは困難なため、臨床所見などを参考にする必要がある。 【組織診断】 灰白色で部分的に出血・壊死を伴った11×8㎝大の腫瘍で、十二指腸壁から腹腔内に突出した形で増殖していた。また十二指腸内腔へもSMT様に浸潤しており、中心部は潰瘍を形成し、腫瘍細胞が露出している。 組織学的には、クロマチン増量、核異型を伴った紡錘形細胞が錯綜配列をしながら密に増殖している。全体として細胞異型や密度は高いが、十二指腸粘膜下には異型性に乏しい部分も認められる。核分裂像は部位によって差が見られるが、5~10個/10HPF程度である。4極分裂などの異常な核分裂像も伴っている。静脈内浸潤も認められることから悪性のGISTと考えられる。免疫組織化学的にvimentin, CD34, c-kit陽性、α-smooth muscle actin, desmin陰性であった。 病理診断 胃腸間質細胞腫瘍 gastrointestinal stromal tumor(GIST) (1) 平滑筋に分化を示すもの(smooth muscle type) (2) 神経細胞に分化を示すもの(neural type) (3) 平滑筋ならびに神経細胞分化を示すもの(combined smooth muscle-neural type) (4) いずれにも分化の方向性のないもの(uncommitted type)
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供覧症例2:14歳、男性 
臨床所見 : 1年前より左大腿部痛出現。Xp, MRIにて左大腿骨、骨幹部に腫瘍を認め、生検が施行された。 
材 料 : 左大腿部生検捺印
判 定 : ユーイング肉腫 Ewing’s sarcoma 【細胞所見】 比較的清明な背景の中、小型で均一な類円形細胞が孤立散在性に出現しており、一部ににロゼット状の配列も見られる。核は、クロマチンは細顆粒状、やや核異型を伴い、核小体を1~数個有している。細胞質は不明瞭で乏しい。以上より小円形細胞腫瘍を考える。 【組織診断】 N/C比の高い類円形腫瘍細胞のシート状増殖よりなる腫瘍で、腫瘍性壊死を伴い、細胞質に多量のglycogenを有する。PAS反応陽性、免疫染色でMIC2陽性であり、Ewing’s sarcomaの所見である。

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