第14 回コントロールサーベー解答・解説 2007年度
症例 1
年齢:81才 男性
臨床所見:左S1+2cに径2cm大のSPN lung carcinoma 疑いにて気管支擦過及び気管支肺胞洗浄施行。
材 料:気管支肺胞洗浄液
【細胞所見】 好中球(+)、マクロファ-ジ(2+)を伴い、2カ所に核クロマチン顆粒状に濃染した異型細胞をシート状・流れ状配列を呈するclusterとして認めます。また、数カ所には無構造な壊死物質を伴い、OGに好染する異型扁平上皮細胞を散見します。擦過でみられた異型細胞と同様の所見であり、Squamous cell carcinomaの細胞像と考えます。 また1カ所ですが、アスベスト小体が見られます。石綿の暴露歴について調査ください。
【解説】 アスベスト小体:人の呼吸器官には侵入してくる異物を排除する機能が備わっているので、普通の粉じん粒子はその粒径に依存して鼻腔、咽頭、気管、気管支の各箇所で捕獲され排出され、肺胞には数μm以下の極めて微細な粒子の一部が到達しうる。しかし石綿繊維の場合は吸入された数十μmから200μmといった比較的長い繊維も肺胞にまで到達する確率が高く、かつ肺胞ではマクロファージ等の貪食作用も機能せずに、そのまま長期滞留することになる。そうした石綿繊維の一部は、多数のマクロファージの作用でダンベルのような形をしたいわゆる石綿小体(Asbestos Body)を形成する。石綿繊維の周囲に鉄(フェリチンやヘモジデリンなど)が付着してダンベル状になったものである。 アスベストはその特性(安価ですぐれた工業材料)から色々な所で使用されている。そのため知らず知らずのうちに暴露されている事がある。今回の症例も、石綿関連職歴はない方であった。アスベストは中皮腫のみならず肺癌も高率に併発する事が知られている。今後増々増えるアスベスト疾患を考えると、肺癌のスクリーング時に、アスベスト小体の有無も考慮すべきと思われる。
【病理組織診断】Squamous cell carcinoma + Asbestos body